東洋医学×ピラティスで身体を整える|26年かけて辿り着いたR-zone『身体調律』の原点
2026/09/15
26年かけて、私は「身体を整える」ということを考えてきた。
― 東洋医学と身体調律WSを開催する、その前に ―
私が東洋医学に強く惹かれたのは、2000年頃のことでした。
当時の私は、舞台に立つ側の人間でした。
ロシアのノボシビルスク
オペラバレエ劇場バレエ団との札幌での合同公演前。
今はない札幌厚生年金会館での
本番まで、あと1ヶ月という日でした。
舞台リハーサルの最中、空中から床へ大きく転がる動きで体勢を崩しました。
そこから立ち上がろうとした瞬間。左腰に、捻挫をしたような鋭い痛みが走りました。
立てない。
歩けない。
結局、人に支えられながらその場を降りることになりました。
翌日には、目上の方との大切な約束がありました。とても行ける状態ではなく、事情を説明して連絡すると、その30分後。
その方は車を手配し、私をある鍼灸院へ連れて行ってくれました。
そこで初めて、本格的な中国鍼を受けました。
鍼、電気、そしてお灸。
何をされているのか、当時の私にはほとんど分かりません。
けれど施術が終わったあと、私は一人で階段を降りることができました。
そして地下鉄に乗り、自分で家まで帰ることができたのです。
「なんだ、これは。」
それが、私と東洋医学との始まりでした。
舞台に戻れたことが、ただただ嬉しかった。
そこから私は、その鍼灸院に通いつめました。
半月ほど経つ頃には、軽く走れるようになりました。
冷蔵庫の前でかがんで野菜を取り出す。台所に立ってフライパンを振る。
そんな、痛める前には何でもなかった日常動作が、ひとつずつ戻ってきました。
そして1ヶ月後。
私は舞台本番に、ほぼ元どおりの動きで立つことができました。
感動そのものでした。
「身体には、こんな回復の仕方があるんだ。」
その経験から、腰が良くなったあとも、私はその鍼灸院へ長く通うようになります。
身体だけではなく、「人の暮らし」を診ていた
そこでは腰痛だけを診てもらったわけではありません。
「風邪をひきました」と言えば、風邪の状態に合わせた施術をしてくれる。
熱が出たと言えば、
「今夜はこうやって過ごしなさい」
と、生活の仕方まで教えてくれる。
湯ざましの飲みかたも教えてくれました。
痛い場所だけを見るのではない。
その人の身体全体を見る。
さらに、食事、睡眠、季節、呼吸、生活まで見る。
当時の私には、それがとても新鮮でした。
そのうち、北京大学から先生が来る機会があり、私はマンツーマンで舌診と脈診の見方や、その判断について教えていただくことになります。
土曜日の午後にはマンツーマンの太極拳。
ゆっくりと身体を動かし、呼吸をする。
足の裏から大地を感じる。
身体の内側を流れていくような感覚を味わう。
気持ちがよかった。
完全に魅了されました。
私は3年間、その世界にどっぷり浸かりました。
そして私は、「鍼断ち」をした。
あるとき、ふと周囲を見るようになりました。
そこには、リウマチを抱える方や、原因のよく分からない不調を長く抱えている方がいました。
道内各地から通っている方もいることを知りました。
それまでとは違って、周囲の方々の話が、とても重く心に入ってくるようになりました。
そして、自分自身にも変化が起きていることに気づきました。
「ここに来れば、良くしてもらえる。」
いつの間にか、私はそう思うようになっていたのです。
最初は身体が回復したことへの純粋な感動でした。
けれど、知らないうちに、
「自分の身体には、自分で回復していく力がある」
という感覚を失いかけていました。
私の中にあったはずの、底から立ち上がる強さを信じられなくなっていたのです。
これは違うかもしれない。
そう思い、私は通うことをやめてみました。
私なりの「鍼断ち」です。
すると——
何も悪いことは起きませんでした。
むしろ、自由な時間が増えました。
ここで私は、一つのことを知りました。
人を整える仕事は、その人を依存させる仕事であってはいけない。
その人自身が、自分の身体を理解する。
自分の感覚を取り戻す。
そして、自分の力で立っていけるようになる。
今振り返ると、これが現在の私の仕事の根っこになっています。
その約10年後、ピラティスに出会いました。
今度は、ピラティスに傾倒しました。
学べば学ぶほど面白かった。
身体の構造。
呼吸。
背骨。
重力。
コントロール。
自分自身で身体を扱うという考え方。
そして2018年、ニューヨークでジョゼフ・ピラティスのスタジオに触れました。
そこで私が感じたものは、単なる「運動法」ではありませんでした。
その空間に漂っていたもの。
人間の身体に対する思想。
身体だけではなく、人そのものを見るような感覚。
私はそれを「気」のようなものとして感じました。
現在、日本では多くの団体がピラティスを研究し、それぞれの解釈で素晴らしい教育を行っています。
一方で私は、資格や流派のマニュアルとして整理されたピラティスと、ニューヨークで私が感じたものとの間には、どこか違いがあるとも感じるようになりました。
筋膜、経絡、精油。そして昔の記憶がつながった。
2020年頃。
筋膜と経絡について学びを深めていく中で、私は再び東洋医学の世界とつながっていきました。
さらに精油を学びました。
香りによって呼吸が変わる。
緊張が変わる。
身体への触れ方によって、その後の動きまで変わる。
目の前で起こる変化に触れるたび、2000年に鍼灸院で感じたあの感覚が蘇りました。
「私は、これをもっと深めたい。」
心の奥で、何かが再び輝き始めました。
2023年、R-zoneを移転する機会に恵まれました。
スタジオ移転を機に決めたことがあります。
どこか一つの団体の考え方だけに偏らない、ピラティスセンターをつくろう。
それが、R-zoneです。
もちろん、
ピラティスは、とても良いものだと思っています。
けれど現場に立ち続けていると、
「ピラティスをやっているのに、なぜ変わらないのだろう」
という方々に出会います。
たとえば、
身体の緊張が非常に高い人。
慢性的な痛みがなかなか抜けない人。
運動すると、めまいや頭痛など別の不調が現れてしまう人。
筋肉を鍛える。
ストレッチする。
姿勢を直す。
それだけでは説明できない身体があります。
だから私は、身体だけを部分的に見るのではなく、
「この人の身体では、今、何が起きているのだろう」
と考えるようになりました。
東洋医学 × 精油 × コントロロジー
現在、R-zoneの「身体調律」には、大きく3つの軸があります。
東洋医学の、人を全体として捉える考え方。
精油・香りが持つ特性を生かしたアプローチ。
そして、
ピラティスの原点にあるコントロロジー——自分自身の身体を自分でコントロールしていくという思想。
私は、この3つを別々のものだとは考えていません。
最終的に目指しているものは同じだからです。
人を理解すること。
そして、その人自身が持っている力を取り戻していくこと。
「ここに来れば治してもらえる場所」にはしたくない。
26年前、私は鍼によって驚くほど身体が変わりました。
その経験がなければ、今の私はいなかったと思います。
だからこそ、東洋医学への敬意は今も変わりません。
同時に、3年間の最後に経験した「依存」も、私にとって大切な学びでした。
R-zoneは、
「あそこに行けば何とかしてもらえる」
場所にはしたくありません。
自分の身体を知る。
なぜ今こうなっているのかを知る。
呼吸する。
動いてみる。
感じてみる。
自分自身で身体を扱える範囲を少しずつ広げていく。
施術も、運動も、香りも、そのための手段です。
主役は、私たち指導者ではありません。
その人自身です。
26年経って、やっとここまで来ました。
2000年。
舞台の床から立ち上がれなくなったところから始まった私の東洋医学との関わり。
鍼に夢中になり、
一度そこから離れ、
ピラティスに出会い、
ニューヨークへ行き、
筋膜と経絡を学び、
精油を学び、
そしてR-zoneをつくりました。
気がつけば、26年です。
私はのんびりした性格なので、人が2、3年でたどり着くところを、26年かけて、ようやく深め始めているのかもしれません。
でも、ずっと変わっていないものがあります。
私の興味の中心は、
「人間」
です。
筋肉だけでもない。
骨格だけでもない。
経絡だけでもない。
心だけでもない。
その人が何を感じ、どう暮らし、何に緊張し、どう呼吸し、どう動いているのか。
心も身体も含めて、一人の人間を理解したい。
そして、その人が本来持っている力を発揮できるところまで、一緒に考えていきたい。
R-zoneは、人を理解し、改善していく場所でありたい。
そのために、私たちはもう一度、東洋医学を学びます。
昔の私のように「神秘」として信じるためではありません。
西洋医学や運動を否定するためでもありません。
身体を見る「もう一つの視点」として、現代の身体への理解と照らし合わせながら学ぶためです。
これが、今回開催する
「東洋医学と身体調律WS」
の原点です。
26年前に始まった点が、ようやく今、一つの線になり始めています。
そしてここから、R-zoneの「身体調律」を、もう一段深いものにしていきたいと思っています。
身体を整えることは、人を整えること。
その人の身体だけではなく、
その人そのものを見る。
それが、26年かけて私がたどり着いた、今の答えです。
PILATES STUDIO R-zone
代表 渡部倫子
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R-zone
北海道札幌市中央区北1条西19丁目1-4
日宝北1条ビル (テナント棟)203
電話番号 :
090-9081-3613
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